HiFi Clubのコラムを翻訳掲載

Roon(ルーン)とは?

2015年ドイツ・ミュンヘンで開かれたオーディオショーで、オーディオ市場の情勢を大きく変えたソフトウェアが発表されました。メリディアン傘下のSooloosの創業者であるEnno Vandermeerがメリディアンから独立して、2015年1月に「Roon Labs」を設立した後、新しい方式の音源管理システムと、再生ソリューションを備えたRoonを発表しました。Roonは発表後、これまで困難を経験したネットワーク再生の新たな道しるべとなって、数々のブランドのネットワークプレーヤーに採用され始めました。

Roonの構造

Roonは既存のネットワーク再生とは全く異なった方式ではありません。ネットワーク再生のレンダー(DMR)、コントローラー(DMC)、サーバー(DMS)で行われた基本的な構造は似てます。しかし、Roonでは、この全てを管理するCOREを別に置いて、これまではユーザーがやるしかなかった様々な役割を代わりに処理するようにしました。

Roon Core

Roon COREは、システムの頭脳で一種の人工知能(AI)のようにコントロールと出力コンポーネントを管理し、音楽ライブラリの内容を検索して管理します。それだけでなく、より正確なデータ伝送ができるように伝送にも直接関与します。

具体的に、コアは次のような役割を行います。

  • デジタル音楽ライブラリの管理
    • 新しい音楽ファイルを自動的に確認し追加
    • 音楽ファイルからメタデータタグを抽出する
    • 音楽ファイルを解析し、詳細なデータを生成する
    • 音楽ファイルを識別し、アートワーク、クレジット、レビューなどのメタデータを生成し、ライブラリを改良する
    • メタデータを最新の状態に維持し、機能を継続的に追加する
  • オーディオ再生管理
    • 再生待ち列と各領域の一連の制御を管理
    • 複数のシステムを使用する時でも1つの管理センターで統合管理
    • ファイルまたはインターネットサービスでオーディオ検索
    • 出力信号をPCMまたはDSDでデコード
  • 一つ以上のコントロールを駆動
    • 様々なコントロールに情報提供
    • コントロールの要求に対する応答
    • 複数のコントロール間で同期した情報を提供
  • ソフトウェアのアップデート処理

 

様々なコントローラーに対応

Roonは様々なOSのコントローラに対応します。androidとiOSの両方に対応し、WindowsやMACのどちらでもコントロール可能です。ただし、同一のネットワーク上にコントローラーが存在する必要があります。

▲ Roonは、スマートフォン、タブレット、パソコン、どれでもコントロール可能です。

統合化された音源管理

COREは優先的にユーザーが持っている全ての音源ファイルを一括的に読み込みます。NAS、コンピュータ、iTunesサーバーなど広範囲に分散した音源をコアが自ら分析し、必要な情報はインターネットでメタ情報サーバーから読み込みます。ここから更に、音源のスペクトルを拡張するために、外部サーバーであるTIDAL(有料)の数百万枚の音源までも読み込み、所有している音源と一緒に管理し、膨大な量の音源をほとんど難しい事も無く楽しむことができます。

▲ 様々なストレージにある音源をCOREが管理します。

豊富な音源に関する情報提供

ファイル再生は、今までのLPやCDで楽しんでいた方法に比べれば便利だが、アルバムのジャケットで提供される様々な情報を見て楽しむのが難しくなりました。しかしRoonは従来のLPやCDで提供されるアルバムのジャケット情報を超え、豊富なエクスペリエンスを提供します。特にRoonは、メタ情報が無いファイルはもちろん、メタ情報を書き込めないWAVファイルも自ら確認してメタ情報を編集提供してくれます。

▲ ファイル再生は便利だがLPやCDのジャケット画像、情報が消えてしまって樂しみが減りました。

▲ 一般的に音源管理はユーザーが直接データ管理します。

ここでRoonは、従来の専門プログラムで提供されたダイナミックレンジ、トラックのゲイン、ボリュームに関する情報まで提供し、オーディオ愛好家の立場ではこれらの情報をシステム設定の情報として活用できます。

ファイル

Roon

UPNP

FLACのメタ情報

豊富なメタ情報

限定的なメタ情報

WAVメタ情報

FLACファイルと同様に様々なメタ情報

非常に限定的か未対応

メタ情報がない音源

自動的にメタ情報を収集

ユーザーが直接編集

音源の分析

ダイナミックレンジ、ボリュームレベル、ゲインなど詳細な音源分析

非常に限定的か未対応

▲ 音源と関連する様々な情報

▲ 分析された音源情報は分類され、また他の情報で提供されます。

ユーザーにやさしいサービス

Roonで提供されるDiscoverというメニューは、私のための専門誌を思い浮かばせ、所有している音源から隠された様々な音源を推薦してくれます。そして音源や作曲家、演奏家を選択するだけで、関連する情報を一目瞭然に確認できます。例えば、図のようにYo-Yo Maを検索すると、専門家でなければ確認できないような「‘似たような、影響を与えた、一緒に演奏した、一緒に研究した音楽家」など、深みのある関連情報を提供してくれます。

▲ マガジン形式の音楽推薦システム、Discover

▲ Yo-Yo Maで検索し、表示される深みのある詳細な情報

様々なシステムで楽しめるMulti Room

Roonは音源を管理してくれるだけでなく、同一ネットワーク上の様々な再生システムを同時に利用できます。このような方式は既存のネットワーク再生のMulti Roomの概念と似てますが、音源管理的な側面と音質的な部分、そして様々なRoonが提供するサービスを一緒に利用できる点に強みを持ちます。

オーディオ用に最適化されたプロトコル、RAAT

プロトコルはコンピューター間で情報をやり取りする時の通信方法についての規則と約束で、コミュニケーション手段である言語と考えられます。一般的にネットワーク再生でよく使われるUPNP方式もメディア転送の標準プロトコルの名称の一つで、RAAT(Roon Advanced Audio Transport)はROONで開発した他の方式の通信規格です。

Roonがオーディオ市場で注目されたのは、上記のCOREの長所もありますが、従来のUPUP方式とは異なるRAAT特有の通信方式のためです。

UPNPプロトコルのデータ転送は、ファイル基準のため、ネットワーク再生のバッファ(Buffer)でデータ不足が発生しないよう可能な限り転送します。したがって送信するパケットサイズや本数が一定せず、送信パターンも不規則で、ノイズが発生する確率が高くなります。一方、Roonは既にCOREでデコードされたPCMデータを一定の大きさのパケットに分割し、受信側のネットワークプレーヤーのクロック状況に合わせて送り、ノイズが発生する確率を下げています。もちろんここではネットワークに送られる電気信号自体がクリーンだという前提があります。

▲ 従来のネットワーク再生とRoonネットワークプレイの違い

様々なDSPエンジンを搭載

最後は、最近のアップデートで追加されたDSP機能です。単純なEQコントロール程度の機能ではなく、ヘッドルームコントロール、サンプリングレートコンバーター、クロスフィード、パラメーターEQ、スピーカーセッティングの詳細設定機能が追加されました。おかげでリスニングルームとシステム環境に応じた微調整で音質向上を図ることができます。

Headroom Management

オーディオ信号の歪み前のピーク(Peak)レベルと平均的なレベルの基準であるRMS(Root mean Square)レベルの差をヘッドルームと言います。Roonではデジタルプロセッサーを使ってヘッドルームを調節できる機能を提供し、これによって普段好んで聞く音量で十分なダイナミックレンジを引き出すことができます。適切な数値まで上げれば、音がより明瞭でディテールな音を聞くことができるが、ダイナミックレンジの変化が大きい過激な演奏を再生する場合には予期しないクリッピングが起きる可能性があるので注意が必要です。

Sample Rate Conversion

サンプリングレート変換は、アップ/ダウンサンプリング、DSD→PCM変換を指定できます。もちろんデジタル処理方法まで調節できるようになっており、音質にさらなる変化を与えることができます。特にConversion Filter機能は、有名ブランドのデジタル技術も活用するもので、DACに応じて音質を向上させることができる機能です。

Crossfeed

クロスフィードはヘッドフォンのための機能と見ていいです。スピーカーとは違ってヘッドフォンはステレオ音源が左右のスピーカーが混じって聞こえる事がなく、空間感覚が良好に形成されず違和感があります。クロスフィードはこのような部分を補完する機能で、左右の音をある程度混ぜて処理し、ヘッドフォンの慢性的な問題を解決してくれます。

Parametric EQ

私たちが知っているイコライザーとの機能に違いは、アナログ団でイコライザーをかけるのではなく、デジタル部でイコライザー処理をしてDACに送ります。ルーム状況に合わせて適切に活用すれば、リニアしたサウンドを聴けます。

Audeze Presets

ヘッドフォンメーカーのAudezeのヘッドフォンのための専用プリセットが提供されるメニューです。Audeze社のヘッドフォンごとに持っている短所を最大限に補完し、最上の音質を作ってくれるので、ユーザーであればぜひ一度使ってみる必要がある機能です。

Speaker Setup

Speaker Setupは左右のバランスと位相を高精度に調整するメニューです。環境的特徴に左右バランスがずれていたり、位相が合わない時に調整すると、簡単に環境的な短所を克服することができます。

 

継続的なアップデート

Roonは持続的なアップデートによってバグを修正し、様々な機能が付加されています。Roonは既にいくつかのプレーヤーよりも優れた機能やライブラリ管理能力を発揮している状況だが、継続的にユーザーからのフィードバックを集めており、今後もどれほどの多彩な機能が追加されるか期待を集めています。

最近のアップデートでは、より良い音質のためにクロックを同期して調整する能力を向上させ、DSPエンジンを追加するなど、その性能を高めています。