Waversa Systems Japan

ウェーバーサシステムズ

4月 2018アーカイブ

カフェのオーディオ(コーヒーEXPO)

HiFi Clubのコラムを翻訳掲載

コーヒーショップのBGMにWaversaSystemsのオーディオがどうかとお問合せをいただいて、2年前のコラムですが韓国でそういう展示会があった事を思い出して翻訳しました。

HiFi Club、2016 Soul CoffeeEXPO Music Lounge

4万5千人が来場した、Soul CoffeeEXPOでHiFi Clubがミュージックラウンジを運営しました。

COEXという韓国最大の展示場で、Coffee Expo Seoul 2016が開催され、HiFi Clubはミュージックラウンジの運営に参加しました。

ソウルコーヒーエキスポは4日間の開催で45,000人あまりが来場したコーヒー産業関連の展示会で、最新トレンドをはじめとする様々な設備やワールドスーパーバリスタチャンピオンシップなど、イベントも多く行われた展示会でした。

ソウルコーヒーエキスポに「ミュージックラウンジ」運営として招待されたHiFi Clubは、一般来場者とコーヒー関連従事者にハイエンドオーディオを紹介するために超ハイエンド機器のWaversaSystems V Pre、VPower、VDAC。Symphony 9 Speakerなどと、小規模のカフェに合うDynaudioスピーカー、Waversa SystemsのAll-In-OneシステムとWminiシリーズを会場特別価格で披露しました。

シンプルなシステムを望む方のために、Dynaudio XEO2スピーカーを提案し、カフェでインテリア雑貨やサウンドシステムとして使えそうなVifa Copenhagen、Helsinki Bluetoothスピーカー、GPO、デジタルターンテーブル、Jarre AeroBull Bluetoothスピーカーを披露し、大きな反響をいただきました。

今回のソウルコーヒーエキスポで、「ラウンジバー」をはじめ、カフェやバー、公演会場のオーディオコンサルティングや施工を行っている経験による大型カフェの音響システムについても、アドバイスやコンサルティングを行い好評でした。

HiFi Clubのハンジャンウォン代表は「世界的規模のコーヒー消費国である韓国の最新コーヒー関連のイベントであるソウルコーヒーエキスポに参加できて良かった。音楽とコーヒーは共にあってより楽しめる関係で、今回をきっかけにしてコーヒーを楽しむ多くの方々が、より音楽を聴きながらくつろげるように、カフェ関連のコンサルティングを増やしていきたい」と話しました。

オーディオ仕様の虚像4「SNR(信号対雑音比)-LPとCD」

HiFi Clubのコラムを翻訳掲載

オーディオスペックの虚像
SNR(信号対雑音比)-LPとCD

SN比は、オーディオ機器の信号対雑音比(Signal to Noise)を言います。つまり、入力信号に混ざっているノイズ(雑音)の数値を現したものをデシベル(dB)で表現します。

SN比はdBで示し、数値が高ければ良好です。一般的にSN比とダイナミックレンジを同一とする場合があるが、厳密に言えば異なることです。SN比は信号に混ざっているノイズの事で、ダイナミックレンジは最も小さな音と大きな音の差を言いますが、一般的にSN比が高いとダイナミックレンジも広くなります。

SN比が問題になる代表例が、LPとCDのSN比です。LPのSN比は最大でも70dBを超えません。しかしCDは110dBを超える場合もあります。SN比、ダイナミックレンジ、チャンネルセパレーションのスペックではCDはLPを圧倒します。しかしLPの音が自然だとしてLPの音質を好む人も多いです。

その理由を調べるため、1つの実験をしてみました。測定方法はオーディオシステム(スピーカー)から出る音を直接測定しました。

システム

  • スピーカー:Avantgarde Trio Classic with Basshorn XD
  • アンプ:Dan D’agostino Momentum Monoblock Power、Momentum Pre
  • ソース
    • LP Player::Welltemperd Amadeus GTA-II with BOP(リチウムイオンバッテリー電源)
    • CD Player:一般的なCD Player
  • 測定方法
    • スマートフォンアプリを利用した測定
    • スマートフォン:サムスン ギャラクシーS9
    • アプリ:SpectralPro Analyzer
    • マイク:ギャラクシーS9内蔵マイク
音質比較測定

CDとLPの音質テスト

ドイツグラモフォンから発売された「アンネ・ゾフィー・ムター Zigeunerweisen 」導入部です。デジタル初期の「DDD」レコーディングなので、個人的にこのアルバムが良い録音とは思ってません。しかし、ソース機器自体の客観的な比較のために、デジタルレコーディングされたような音源でLPとCDを比較しました。

CDとLPのスペクトルデータ比較

このスペクトルを比較してみると、序盤の無音部からLPは特有のノイズがあり、そのノイズがLPのSN比が劣っている理由です。しかしスペクトルデータをよく比較してみると、8,000Hz以上の倍音部でLPとCDは著しい違いが見られます。もしこれがLPのノイズであれば、ノイズパターンは序盤の無音部にあったノイズの延長になるはずだが、楽器音に基づいて倍音部の周波数帯が変わることを確認できます。

しかし、デジタルレコーディングにもかかわらず、再生メディアであるLPとCDの情報量は多くの違いがスペクトルデータ上に表現されています。LPの方がはるかに多くの情報があることが分かります。

もう少し詳しく比較してみましょう。

重要な部分を拡大してみました。

  1. 無音部でCDとLPのノイズの違いが分かります。LPの構造的問題でカートリッジがレコード盤の溝をなぞって出るノイズが明確に現れます。これがLPのSN比が劣る理由です。
  2. オーケストラ演奏部分です。様々な楽器の演奏によってLPでは多くの倍音付加でいっぱいです。LPはこのように倍音部分だけにノイズを出すことはできません。これがLPの基本的なノイズとは関係のない、CDとLPの実際の音楽の再生能力の違いです。
  3. CDは特に8,000Hz以上から倍音がほとんど消えてしまい、薄いほぼ緑色(-50dB)のみしかありませんが、LPは各音に倍音が交差して変化し、赤色(-25dB)帯が現れ、複雑な倍音部をよく表現しています。高音部に伸びるバイオリンで倍音付加が消え、固い音が鋭く出るようになります。
  4. バイオリン独奏部で、CDでは4という数字が見えにくくなるほどに音がない一方で、LPでは弱音のディテールがよく生きています。

中ほどのバイオリン独奏部です。上部黄色ボックス内の高域倍音不足の問題だが、下段のバイオリン基音部周辺も意外に大きく異なっています。このグラフから見ると、CDはノイズを除去してSN比を高めているが、ノイズを除去しつつ、本来音楽にあった微細な信号(弱音と倍音)なども一緒に除去されてしまっていることが確認できます。

CDとLPの音質の違いは、人によっても異なる評価になります。CDの音質がクリアーで良いという人もいれば、ノイズがあっても音楽的なLPが良いという人もいます。CDとLPの音質に関しては「アナログとデジタル」のテーマで扱う予定です。

SN比はアンプやオーディオの能力を示すには限界があり、ただ機器自体のSN比だけを表すもので、それによって音楽の情報(原音)がどのように失われ歪むのかまでは分からないスペックです。

オーディオ仕様の虚像3

HiFi Clubのコラムを翻訳掲載

オーディオ仕様の虚像 3
オーディオスペックの虚像・THD(全高調波歪率)第3回/THD使用背景と結論

T.H.Dが重要なスペックになった時代的背景

どうしてアンプのT.H.Dが重要なスペックになったのでしょうか。1940~1960年代に真空管アンプが作られた時代にもT.H.Dというスペックがあったが、アンプの仕様は記載されていない場合も多くありました。それほど重要でなかったからです。

有名なWestern Electric社の91Bアンプのスペック

1970年代にトランジスタアンプが本格的に普及し、サイズも小さくなり、製造コストも劇的に低下して大量生産が可能になって、それまで一部の特権層のみが使用できたホームオーディオが大衆化する決定打になりました。それとともに、それまでの真空管アンプとは異なり、トランジスタアンプはT.H.Dが低いことを強調して広告を行ったため、一般の人々はT.H.Dが低いことが良いアンプだという認識を持つようになりました。Googleで見つけた当時のアンプの雑誌広告ページです。

1970年代、T.H.D 0.05%を大きくアピールしている当時のTRアンプ広告

この写真だけを見ても、多くのボタンとトーンコントロールダイヤルがあるということは、信号経路に余計なリレーと抵抗を使っているという事で、ボタンの1つ1つ、ダイヤル1つごとに音を損失させ歪ませると考えても間違えではありません。そして「0.05%Distortion」と掲げ、まるで歪みのないアンプのように広告しています。

もう1つの広告を見てみましょう。宣伝文句に、0.02%の低いT.H.Dで、T.H.Dだけ低いのではなく、価格も最も安いと広告しています。このように1970~1980年代のアンプ広告は、T.H.Dが重要なスペックとされており、それによって多くの人がT.H.Dが低いのが良いアンプだという認識を持つようになったのです。

結果(T.H.D)ではなく、過程(高調波除去)が重要です

一般的なTRアンプは、通常0.05~0.1%以下の低いT.H.Dを表記しています。 しかし真空管アンプは、3%以上のTHDが出て、数百万円を超えるハイエンドクラスのTRアンプは0.1~1%のT.H.Dを表記しています。なぜこのような数値なのでしょうか。真空管アンプはそうだとしても、低価格のTRアンプがT.H.Dの数字が低く、数百万円もする高価なTRアンプが逆にT.H.Dの数字が高い場合があります。

T.H.Dが重要ならば、ハイエンドメーカーはなぜそのような高いT.H.Dを下げないのでしょうか。もちろん、0.005%といった信じられないT.H.Dを持っているハイエンドアンプも存在します。しかし価格が凄まじいです。これは、原音を損なわないでT.H.Dを下げるのは非常に困難だという事です。NFBを深くかけ、楽器で発生する固有の倍音まで損傷させて低いT.H.Dを作り出した結果よりも、どのように原音を損なわずに増幅素子の高調波歪みを最小限に抑えたか、その過程が重要です。

別の対策

もし信号の倍音(Harmonic)と、出力素子の高調波(Harmonic)を区別して、出力素子の高調波(Harmonic)だけを完全に除去できる技術があれば問題は簡単です。しかし、そのような技術はまだ実現していません。アンプメーカーでもNFBによって原音が失われるためNFBを使用しないnone NFB回路を採用する例もあり、ハイエンドメーカーでもZero NFB回路を採用したアンプもあります。

しかし、一般的なnone NFB回路の場合、狭帯域の周波数帯域、ダイナミックレンジ、アンプ出力の安定性など問題が発生します。NFBの欠点を補完できるための1つが古バランス回路です。信号の+とーを別々に増幅する方式で、ノイズに強く、長距離の信号伝送ができ、音質的に有利な回路です。音質に決定的な悪影響を与えるNFB回路の問題を最小限に抑えられます。

フルバランス回路を採用したアンプ

しかし、フルバランス回路は+と-信号をそれぞれ増幅するために、部品が2倍になり、部品のクオリティや部品ごとのばらつきを高精度に測定して使わなければならないなど、製造上の困難があります。何よりも製造コストが非常に高くなる大きな短所があります。そのために一般のコンシューマー製品ではほとんど製造されておらず、ハイエンドオーディオでも一部のメーカーが採用している方式です。広告はバランス回路と書いてあっても、内部はアンバランス動作で、端子だけバランス端子になっている見た目だけバランスのアンプも多くあります。

ハイエンドオーディオアンプのT.H.Dが高い理由

ハイエンドアンプのT.H.Dは0.1%~1%まで高い場合があります。TRアンプの基準といえるT.H.D 0.1%に及ばないスペックです。その理由は「妥協」と言えます。「チューニング」という表現がより適切です。オーディオでは音楽に含まれる倍音情報などの弱い信号をどれだけ大切に生かすかが鍵です。それが音楽のニュアンスだからです。それでT.H.Dが高くなっても、それは歪みではなく、実際の音に最も近い音を出してくれるとの判断からです。

2次倍音は、素子(真空管、TR)を選別し、厳格な基準で部品ごとの特性のばらつきを最小限に抑え、更には同じ日に生産された極めて誤差の少ない部品を選別するなど、全ての製造過程が専門家の手作業で行われ、それで終わるのではなく、振動、絶縁、遮蔽など、原音の純度を維持するために多くの努力を行っているためです。それでこのようなアンプの多くは価格が非常に高くなってしまいます。

アンプ開発者の音楽的知識が重要な理由

映画を観ない人でもテレビの開発を行うことはできるが、音楽を知らない人は良いオーディオを作ることはできないと思います。ハイエンドオーディオの製作者インタビューをすると、幼い頃に楽器を演奏したか、音楽が好きでオーディオエンジニアの道に進んだ場合がほとんどです。良い音楽を聞かせるオーディオを作るために音楽の知識が何より重要です。楽器ごとの音色、倍音の特徴、いろいろなジャンルの音楽、コンサートホールの音響など、多くの知識と経験が必要です。このように音楽的な部分を考慮していないオーディオは、決して良い音を作ってくれることはありません。

世界最高と言われるハイエンドアンプを作る開発者のインタビューを一部引用します。

「私の祖父は有名なテノールでした。父はピアニストです。そのような家族の影響で幼い頃から多くの音楽に触れることができました。特にコンサート会場に非常によく通いました。毎週2回くらいクラシック、現代音楽を問わず、公演でコンサートの感動を受けているうちに、アンプを作ってみたくなったのです。14歳の時です。初めてアンプを作った時は、何の情報も得られず、大学の図書館に行って独学でオーディオを研究し始めました。」

有名なオーディオエンジニアは音楽と良い音が好きなのでオーディオの製作者となった場合がほとんどです。だからと言っても、良い音質のアンプを作るオーディオ製作者の全てが楽器の倍音や2次倍音、3次倍音の知識を持っているとは限りません。倍音の知識がなくても自分が知っている実際の楽器の音と音楽を知っているので、それを基準にチューニングしオーディオを作ります。

MP3の劣悪な音源ソースが大半である近頃では、一般的なコンシューマー向けオーディオを製作する大企業はどうでしょうか。大企業の開発室に勤務し、音楽を愛し、楽器ごとの音色、楽器ごとの倍音特性を知っている開発者がどのくらいいるでしょうか。音楽の知識を必要としない、電気や電子工学の専攻者がオシロスコープを見て、単純に数値だけ調整して作ったアンプは、電気的に完璧に動作しても、オーディオ的に良い音楽が流れることはありません。

たとえ分かっていても、音質を改善するために2倍の部品が必要で、良い部品を選別する必要があるので製造コストが上がってしまうという意見が出れば、製品はどうなるでしょうか。メーカーの目標は、安く、多く作って、最大限の利益を追求します。コスト削減を最優先として、安い部品で、部品のばらつきや誤差を構わず使うために過度なNFBをかけて、測定機で0.05%のT.H.Dにして、大量生産で低価格に発売されたような製品で、音楽を聞いても倍音が消えて歪み、固く聞こえるということです。 それこそが更に歪んでいるという事です。

したがって、オーディオのスペックのT.H.Dで分かる事は皆無だと言っても過言ではありません。T.H.Dは入力として正弦波を入れたとき、アンプ自体で発生する高調波歪率程度で、その過程で音楽の原音がどれだけ失われ歪むのかは、全く分からない数値の仕様です。

D様 2018/4/14

D様
2018/4/14

なんだかんだで、Wcorestreamerphono1まで買いました。

Wcoreで聞くRoonの音がとても良いのでWaversaを信頼するようになってフォノまで揃えてしまいました。
今も満足で、WSmartHubを追加するか悩んでます。
まずはWlanケーブルを買おうと思います。

レビュー:t様「WAVERSAの塔」

WNDR、Waversa Network Direct Rendering。
WaversaSystemsが開発したネットワーク再生の音質向上技術です。
簡単に例えれば、RoonのRAATのようなもので、ユーザーは特に意識する必要はありません。

無料アップデートでハイエンドシリーズが順次WNDRに対応しつつあります。
テスト段階でも大好評でしたが、アップデートが公開されてから絶賛されています。

t様:2018/04/13

WNDRはとても良いです。音質改善効果が大きいため、クラシック音楽をよく聞いて、この音楽がこんなに良かったのかと感心しきりです。
短所としては、ソース機がよくなるとアンプなど他の部分もアップグレードしたいと思ってしまう事くらい…

オーディオ仕様の虚像2

HiFi Clubのコラムを翻訳掲載

オーディオスペックの虚像・THD(全高調波歪率)
第2回/真空管とTRの歪み

コンサートホールで聴くクラシック音楽は、美しく深い感動を与える反面、オーディオで聴く音楽はなぜか鋭く声高に聞こえたりもします。バイオリンは細くて角が立っており、音は塊りがちで騒々しく、音楽的な感動が感じられません。コンサート会場の感動をそのまま感じることができるのが、オーディオの最終目標だが、オーディオの各種の歪が音質を劣化させてそうなるのです。

それではここで、2次倍音と3次倍音についてもう一度整理します。

2次倍音(2倍数高調波、偶数次倍音、和音)

人を快適にする柔らかく温かみのある音です。例としてバッハの無伴奏チェロを思い浮かべてください。クラシック音楽で非常に重要な倍音で、アコースティック楽器(ピアノ、アコースティックギター、バイオリン、チェロ、ヴィオラ、コントラバス)などで発生する倍音です。自然な音色(Natural)で暖かく豊かな音です。

2次倍音が発生する増幅素子は3極管シングルエンドアンプで多く発生します。厳密に言えば2次倍音だけを発生するのではなく、3次倍音も発生します。TRはハイエンドオーディオメーカーでよく使われるJFET素子などで発生し、真空管でマッチドペアするようにTRも部品のばらつきなく選別すべきだが2次倍音が発生します。若干の2次倍音の追加は音楽に大きな問題を引き起こしません。2次倍音は自然(Natural)な音に感じるからです。しかし過度な2次倍音は音のスピードが遅くなったように聞こえ、音をやや軟弱にします。

3次倍音(3倍高調波、奇数次倍音、不協和音)

人に緊張感を与える鋭く粗い音です。アコースティック楽器ではトランペットなどの管楽器で3次倍音が2次倍音とともに発生し、演奏する方式によって3次倍音を強調する演奏もあります。ドラムなどの打楽器は複合的な倍音構造を持っています。電子楽器なども2次倍音を人為的に入れるが、2次倍音がそれほど重要な要素ではないと言えます。むしろポップ音楽やヘビーメタルなどでは3次倍音がむしろ強く、スマッシュ(Smash)な音を作り出します。

3次倍音は5極管真空管、プッシュプル回路などで発生し、ほとんどのTR増幅素子で発生します。基本的に不協和音なので追加されるべきではない倍音です。したがってNFBを過度にかけて楽器の倍音まで無くなってしまう事になります。よくコントロールして原音を損なわずに増幅する場合、音のスピードが速く、しっかりした中立的な(Neutral)音を作り出すことができます。

真空管とTR

T.H.Dを話すときに真空管とTRをよく比較します。よく「真空管は2次倍音が発生して柔らかくて暖かな音が出て、TRでは3次倍音が発生して音が硬くて冷たく聴こえる」という話をします。厳密に言えば間違った話しです。一般的に真空管は、2次倍音が多く出て、TRは3次倍音が多く出るが、真空管によっては3次倍音が出る真空管もあり、2次倍音が出るTRもあるからです。

しかし、しばしばT.H.Dの数値だけで、「真空管アンプ=歪み」と現す場合があります。ここでいくつか質問を提示してみます。

  • ブラウン管TVはすでに歴史の中に消えて久しいが、ブラウン管よりも歴史が古い真空管アンプがまだ健在しており、ハイエンドオーディオでは過半数が真空管アンプと言っても過言ではないほど、多くのオーディオメーカーが真空管でアンプを作っているのはなぜでしょうか。
  • 真空管アンプが歪みの塊だとしたら、110年の以上もの間、なぜオーディオ愛好家に選ばれ使い続けられているのでしょうか。オーディオファイル(オーディオ愛好家)の耳が悪いので真空管アンプを使っているのでしょうか。
  • もう一つ、何故まだほとんどのエレクトリックギター(そしてベースも)アンプは真空管アンプを使うのでしょうか。

その理由は、一般的に真空管アンプは、アコースティック楽器のような「2次倍音」の高調波が発生するからです。その2次倍音を追加して、別途の共鳴胴がないエレクトリックギターでアコースティックギターのような「倍音」を自然に作って共鳴胴の役割をしてくれるからです。

T.H.D:真空管3% VS TR0.05%の歪み

もしT.H.D 3%の2次倍音(高調波))を出す真空管アンプと、0.05%の3次倍音(高調波)を出すTRアンプがあれば、どのアンプが歪みが多いでしょうか。T.H.D数値だけを見れば0.05%のTRアンプがより良いアンプです。しかし原音の情報(音楽の倍音)を損失なく再生するという点で見ると、0.05%のTRアンプがより歪みがあると言えます。

T.H.D 3%の2次高調波が発生するアンプは、音楽で見ると1オクターブ高い”ド”の和音を追加するものであり、2次高調波があまり問題にならないので、NFBを弱くかけて元の信号にある微細な倍音情報をあまり損傷させずに増幅させることができます。だから逆に歪みの少ない音を出すことができます。

しかし3次高調波が発生するTRアンプは、もとの音楽にはない不協和音(3次高調波)を追加します。従って、このような3次高調波をなくすために、過度なNFBをかけて元の音にある楽器の倍音情報まで消してしまいます。その場合、倍音情報が不足して深刻な音色歪みまで発生することになります。こうしたアンプでクラシック音楽を聞くと、硬く鋭く聞こえ、音楽がつまらなく最後まで聞く気になれないということになります。クラシック音楽をよく聞かないようになる理由です。

分かりやすいように図で表現してみました。原音に対して3%の2次高調波(ハーモニー、青色)が追加されるので、NFBなどを弱くかけて原音をあまり損傷させないようにできるが、3次高調波(不協和音)が追加されるアンプは3次高調波(赤色)をなくすために、過度なNFBを深くかけるようになるので、原音の倍音までもなくなり、図のように原音の微細な信号が消えて音色の歪みまで発生することになります。

したがって、T.H.D数値だけを見て「真空管アンプ=歪曲」というのは間違った偏見です。

最良のアンプは、一切の歪みなく、原音をそのまま増幅するアンプです。

上記の比較は、単にT.H.Dスペックの問題点を伝えるために真空管とTRを比較したもので、2次倍音が出る真空管アンプが無条件にいいと主張するのではありません。原音の損傷なく良い音を出すアンプで、真空管とTRの出力素子の区分は無意味です。よく作られたTRアンプは原音の損失なく、むしろ中立的なきれいな音を出す長所があり、真空管アンプでも0.5%以下の低いT.H.D値を持つアンプもあるからです。 真空管とTRについての話題は、機会があればまた採り上げるかもしれません。

最も良いアンプは、独自の高調波が発生しないオーディオシステムが一番いいのです。そのような意味で見ると、T.H.Dが低いアンプやオーディオシステムが良いものであり、T.H.D 0%のアンプがあるなら、究極のアンプです。しかし、現代の技術や物理学的では不可能な話です。楽器の「倍音」を損なわず、ありのままに再生する能力が重要であるが、T.H.Dを下げて発生する原音の歪みが考慮されていないためにT.H.D値がむしろアンプの性能を歪曲させているということです。

T.H.D 0.1%と0.05%

ここで比較実験をしてみます。客観的な比較のために2台のTRアンプを使いました。

  • A:THD 0.1%、400ワット/チャネル
  • B:THD 0.05%、110ワット/チャネル

スピーカーはAvantgarde Trioです。 アクティブサブウーファーを持っており、109 dBという高い音圧を持っているので、スペック上で見れば、AやBでスピーカーを駆動することはまったく問題になりません。簡単にスマートフォンで測定したデータなので、高性能マイクを使ってちゃんと測定すれば、おそらく更に大きな差を見せてくれることでしょう。

テストした音楽は”ロッシーニの涙(Une Larme)-Harmonia Mundi”導入部です。

同じ条件でパワーアンプだけ変えて比較したスペクトルです。スペクトル上で多くの違いを見せています。基音から倍音までBアンプがAアンプよりはるかに少ない量のスペクトルを示しています。単にTHD値だけの違いだけであれば、このような大きな差にならないでしょう。このスペクトルでいくつかの種類の考えるべき部分があります。

左側がAアンプで、右側がBアンプです。Aアンプが倍音の情報が生きていることが歴然です。

  1. ピアノの鍵盤1つの音が出たときに発生するピアノの倍音が、Aの方がより明確で正確です。
    (音質的にもAが実際ピアノの音のような豊かな音です。Bは音色が明るくなり、やや痩せた、調整が足りないようなピアノ音が出てしまいます)
  2. 5kHz~8kHz、高音の倍音情報がBアンプはほとんど消えてしまってます。
  3. ピアノ音の余韻がBはすぐに消えてしまってます。

もう一つ確認してみます。 ピアニッシモ演奏部分です。この部分では更に多くの違いが分かります。

  1. 5kHz~8kHzの部分が、Bではほとんど見えません。
  2. 弱音で音の余韻はさらに違いがあります。Aではピアノの余韻が次の鍵盤を弾くまで続くが、Bではその前に途切れてしまってます。
  3. 無音部の解像力の差です。実際にこのアルバムを聞いてみると、この部分でも小さな音(アンビエンス)が残ってます。しかしBアンプではその音がほとんど消えてしまってます。マイクロダイナミクス違いです。

音質的にAアンプの音が格段に良いです。ピアノの豊かな倍音が表現されて、演奏者の服がかすめる動きの音まで分かるような微細な音を出し、倍音、残響、空気感(アンビエンス)まで再現してくれます。ダイナミクスが小さい弱音ですら小さな音たちが多く存在し、フォルティッシモの演奏で更に大きな音を出します。一方、Bアンプは一見、澄んだ音だが、倍音がほとんど無くなって残響や余韻が消え、貧弱なピアノの音がします。音色は明るくなり、ピアノの音と音の間が切れて演奏が軽くなり、音楽のニュアンスも落ちてしまいました。

このスペクトルの違いをTHDで説明できるわけではありません。アンプが良い音を出すためには基本設計、採用部品、部品精度、電源部、配線、振動、シールドなど、計り知れない要素が存在するためで、単にTHDの違いでこのスペクトルを説明できないということであって、それでTHDがアンプの性能を評価できるものさしとしては使えないのです。

他の2つのアンプでの比較

下図のスペクトルを比較してみましょう。Bアンプは前述のAアンプで、Cアンプは一般的なAVアンプです。

Cアンプのスペクトルは、もうほとんど魚の骨のように倍音が消えてしまいました。多くの音が消えてしまって無くなっているのがスペクトルで確認できます。これは過度なNFBで、楽器の倍音を全て消してしまったためです。THD値は一番低いが、貧弱で痩せぎすな鋭い音で、音量が大きくなると、もう音楽ではなく騒音レベルの音がします。THDは0.03%と一番低いが、最も深刻な歪みになっているのです。

第3回「T.H.D-仕様の背景と結論」に続く予定です。

「WCOREが届きました」海外ユーザーレビュー

海外ユーザーの翻訳掲載

おはようございます。
先週にWCOREが届きましたが、昨日設置して聴き始めました。

WCOREWStreamerWAMP2.5を使ってます。

家が小さくて思うように設置できてません。

DACはmusical fidelityのm6siでしょうか。

WStreamerを使えば、Roon非対応DACでもRoonで使えるので、他社製DACユーザーさんに喜ばれているようです。

WCOREは待望の、というほどに待っていたと喜んでいただいているようで、価格も発売時期も未定ですが、既に日本でも数名の方からご予約や出たら買うと言って頂いてます。
他にもWDAC3WAMP2.5もいつ出るのかとご質問を頂きますが、メーカーの対応待ちでまだ未定です。

オーディオ仕様の虚像

HiFi Clubのコラムを翻訳掲載

オーディオスペックの虚像・T.H.D(Total Harmonic Distortion、全高調波歪率)-第1回

個人的にはオーディオの仕様の中で最も問題になりやすいと考えている項目が、全高調波歪率と訳されるT.H.D(Total Harminic Distortion)です。

機器に単一周波数の正弦波を入力した時、出力信号に含まれる高調波成分のレベルの合計と出力信号レベルとの比を百分率で示したものをいう。例えば、10倍の利得を持つアンプに1V(ボルト)の正弦波信号を入力した場合、出力には10Vの正弦波だけが出てくるのが理想だが、実際にはアンプ内部で発生する変形などで入力信号の2倍、3倍…の周波数となる高調波成分が出力される。これらの高調波成分のレベルを合わせて、元の出力信号レベル(ここでは10V)との比をパーセントで表したのが全高調波歪率である。したがって、高調波成分の合計を1Vとすれば、このアンプの前校長は歪率は1÷10×100=10(%)となる。 一般的に歪率というのは、ほとんどが全高調波歪率を言い、アンプ性能の基準に使われる。

まとめると、「アンプが増幅すると高調波成分が発生し、その成分を数値で現したのがT.H.D(Total Harmonic Distorton、全高調波歪率)であり、アンプ性能の基準に使われる」となります。グラフにすると以下になります。

▴THDを周波数(X軸)と増幅度(Y軸)にしたグラフ
最初に出てくる2次倍音が強く、順に次第に小さくなる。

上のグラフのように、アンプが増幅しながら、元の音(入力信号)に付加されるのが高調波(倍音)です。

トランジスタアンプ

発明者にノーベル物理学賞が与えられたTRは、真空管のスイッチングと増幅機能を非常に小さなサイズにした素子です。更に発展を続け、現代の半導体に続いています。

トランジスタアンプ[transistor amplifier]
増幅素子にトランジスタを使用したアンプ。ICを利用したアンプも、ICの中身はトランジスタなので、結局はトランジスタアンプである。 この全てを「ソリッドステートアンプ」という。真空管アンプに比べて電力の利用効率が高く、小型軽量で、時間が経過することによって発生する性能の変化(劣化)が少ないことと、大量生産しやすいため価格を下げることができるのが大きな特徴である。
電気的な特性として、電流が増幅するために回路のインピーダンスが全体的に低く、出力トランスが不要だが、歪みが多く、成分に奇数次の高周波を多量に含むため、なんらかの対策をしなければオーディオには使用できない欠点もある。しかし回路設計を適切に行い、具体的には多量のネガティブフィードバックをかければ実用上十分な歪み特性になる。

この説明から、「トランジスタは歪みが多く、成分に奇数次の高周波を多量に含んでいるため、なんらかの対策がなければオーディオには使用できない」ということです。TRを開発する際には、オーディオ用に使用すると考えてなかったので、音楽の倍音は全く考慮されてなかったのではないでしょうか。そしてオーディオで使ってみると、奇数次高周波(3次倍音)が発生し、オーディオに使うには難しい、という事です。

どのような対策か

上記のトランジスタアンプの対策の1つが、オーディオで最も使われているNFB(ネガティブフィードバック)などの回路です。ではここでNFBとは何かを知っておきましょう。

ネガティブフィードバック[negative feedback]
出力の一部を入力側に戻した時、最初の入力信号に対して逆位相(逆相)となっている場合をネガティブフィードバックという。ネガティブフィードバックによって出力を安定させることができるため、増幅器で周波数特性、振幅特性、位相特性を改善したいときに適している。

つまり、「アンプの増幅で高調波ノイズが発生し、それをT.H.Dと表記し、TRの場合はオーディオ用としては向かない奇数次の高調波が発生するため、NFBなどの対策が必要である。」と言う事です。

▴一般的なネガティブフィードバック回路

この図のようにNFB回路とは、出力側の信号を再度入力に入れて、高調波ノイズを除去します。NFBの場合、真空管でもTRでも増幅素子で発生する高調波ノイズを除去する用途の他に、外部干渉やノイズなどを取り除き、回路を安定的に動作させるので、アンプにほぼ必須な回路と言えます。(NFBの役割は他にもたくさんありますが、ここでは省略します)このNFBを経て、アンプで発生した高調波ノイズは除去されることになります。

ここまでは大きな問題はありません。私たちが一般的な常識で知っている内容です。それでT.H.Dが低いアンプが良いアンプという認識が一般的に知られています。それではここから、上記の内容がどのような問題を持っているのか調べてみます。

Harmonic(倍音)Harmonic(高調波)

T.H.D(Total Harmonic Distortion)で注目しなければならない単語があります。まさに「Harmonic」です。Harmonicという単語は音楽では「倍音」という意味で、電気では「高調波」という意味もあります。前回、倍音の話をする時、音楽で二次倍音(偶数次倍音)は和音であり、三次倍音(奇数次倍音)は不協和音としました。

しかし、T.H.Dは、単に2次や3次に発生する「高調波」だと同一視することが問題です。これは例えばメタノールとエタノールがあるが、それを無視してアルコール度数だけを表記してお酒とするのと同じだと極端に例えられます。もしT.H.Dを楽器でそのまま述べれば、豊かな倍音を出すストラディバリウスのようなバイオリンも、高調波が発生して高いT.H.Dになるだけです。

バイオリンの倍音

増幅素子の高調波(倍音)の特性

楽器ごとに倍音の特性が違うように、増幅素子も素子によって追加される倍音の特性が違います。2次倍音(ハーモニー)が主に発生する素子もあり、3次倍音が主に出る素子もあります。しかしT.H.Dは、それを規定していません。増幅素子の倍音特性が、なぜ重要な2次倍音、3次倍音で極端に違うかをもう一度調べてみます。

ピアニストが演奏中に「ド(C3)」を弾く時に、ミスして1オクターブ高い「ド(C4)」、2次倍音を軽く叩きました。しかし聴衆で気がつく人はほとんどいないでしょう。しかし、間違えて1オクターブ高い「ソ(G4)」、3次倍音を叩いたならば、誰でもピアニストのミスに気がつきます。2次倍音と3次倍音の違いはそれだけ大きいと言えます。

入力信号(ソース)の損傷

出力素子の高調波歪みを無くすために、NFB回路などを使用すると説明しました。出力を入力に入れなおして、間違(歪み)った高調波を除去し、クリーンな信号を作るということです。しかし、その過程を経て、本来の信号にあった音楽の倍音(Harmonic)などの微細な信号も共に無くなってしまう事になるのです。なぜなら、電気的には同じ高調波信号であるので、NFB回路には音楽の倍音なのか、出力素子で発生した高調波なのかを区別する方法がないからです。

NFBを経て、損傷する原音情報
NFBを経て、元の信号情報は損傷してしまいます。

もちろん、倍音が全て消えるわけではありません。NFB回路にかからない大きな信号(の倍音)は増幅されるが、人間の耳は非常に敏感な器官で、それらを人の耳が十分に認知して聞こえるということです。2次、4次、6次、8次の倍音が混ざった音と、2次、4次だけがある音楽とは、全く異なって聞こえるようになります。グランドピアノとアップライトピアノの音が違って聞こえる理由と同様です。

倍音、残響、余韻、アンビエンスなど、微細な情報が消えてしまってダイナミクスが低下し、音楽は退屈で硬くなってしまいって音楽性も低下し、音楽を聞いても疲れたり騒々しく感じる理由です。実際にこれが一番の大きな問題となります。過度なNFBで高調波ノイズを無くし、T.H.Dは低いが、音楽を再生するためのオーディオの性能に合致していないという事です。

この3つの誤りによって、T.H.Dは原音の再生を目指すオーディオの性能を評価する際には何の意味もない数字に過ぎないということです。そして「音楽の倍音と電気的な高調波は異なるものであって、T.H.Dの数値よりも高調波の成分がより重要で、元の信号に含まれる倍音情報が損傷されるかされないかが、より重要である。」という結論になります。

第2回に続きます。

3部作構成のBBCドキュメンタリーをNetflixで「CODE」と検索できます。
数学的に音楽の原理を説明し、倍音と騒音を区別するなど、この世界の全ての理を「数学」で解明するとても面白く有益なプログラムです。

更なる倍音の要素

その他にも、オーディオの倍音は様々な条件や要素との戦いです。スピーカーウーファーの逆起電力がツイーターに伝わると、倍音情報は歪曲されたり消えてしまうこともあるでしょう。パワーアンプ大容量トランスフォーマーの振動が非常に小さい信号を処理するプリアンプ回路に伝わり、微細な倍音情報を歪曲させてしまうことがあります。ソース機器のモーターで発生したノイズやコンピューターノイズによって倍音情報は損失し歪曲され、音は硬く荒れた平坦になってしまいます。

良い音質のために様々なオーディオチューニングを行います。電気ノイズを除去するために、シールドトランスを使い、オーディオラックとアンプ台を変え、ケーブル、電源コード、ルームチューニング材、スパイク台など、様々なチューニングを試みます。何を変えてもオーディオの音は変わります。サウンドが柔らかくなったり、クリアーになったり、中域が分厚くなったり、低域が固くなったり、多様に変化します。これも倍音領域の部分が変化するためです。振動を抑制して揺れた高域が向上するのは、基音が変わらなくても、消えたり歪曲された倍音付加が正しく出て音が豊かに自然になるためです。

オーディオの仕様を盲信し、メーカーなどが提示するスペックが良いオーディオ機器が良いと鵜呑みにするのは非常に危険です。それなら人間の可聴周波数帯域外の無駄な音を無くし、ファイル容量を大幅に減らしたMP3でもクラシック音楽の実演の感動をそのまま感じられなければなりません。しかしMP3にはクラシック音楽の倍音情報の大半が失われています。相対的にエネルギーが大きい倍音の一部分のみが入っているだけで、無限大の次数で発生する倍音情報はほとんど入ってないと考えられます。そのためMP3で聴くクラシック音楽は単純でつまらない音楽になってしまいます。

倍音、残響、アンビエンス、そしてマイクロダイナミクス

倍音、残響、アンビエンス、マイクロダイナミクスなどは、音楽に存在する非常に重要な要素であり、特にクラシック音楽では音楽的ニュアンスを活かす中心です。倍音は楽器で発生する音であり、残響は壁で反射される反射音であり、アンビエンスは私たちが会場で感じる雰囲気です。

この要素の共通点は、極めて小さな信号だということです。しかし他にもあります。倍音は演奏時に発生する音とレコーディング時にのみ録音される音であり、残響とアンビエンスはミキシング、マスタリングで追加できるという違いがあると言えるでしょう。さらにアンビエンスはAVプロセッサーにある音場モードなどで追加もできます。公演ライブ映像(DVDやブルーレイ)を見ると、CDよりも多く響きがあるように聞こえます。臨場感を増すためにリバーブ(残響効果)とアンビエンス効果を追加したからでしょう。しかしこれは実際の楽器の倍音とは関係の無い、ただディレイタイムの残響効果を加工しただけです。

このように倍音はハイファイオーディオと音楽に非常に重要な要素であり、この倍音の再生がどうかがオーディオサウンドで最も重要です。純粋な原音再生を目指すハイファイオーディオでは、レコーディング現場でそのまま録音された音楽の音と倍音、残響などがそのまま保存されて再現されなければなりません。 単に音色、好みだけでオーディオの音を評価するよりも、倍音の原理と役割を知って消滅や歪曲の無い、ありのままの倍音再生が完成度の高いサウンドを作り上げることができるキーファクターであると言えるでしょう。