デジタルアンプはクラスDアンプとも呼ばれます。しかしデジタルアンプとは区分して呼ぶ理由があります。
クラスDアンプは、アナログ信号をPDM(Pulse Density Modulation:パルス密度変調)によって1Bitパルスに変換して増幅した後、LPF(Low Pass Filter)をかけ、可聴帯域の音声信号を生成します。
このように増幅すると、アナログ素子の特性を反映した直接の増幅ではなく、パルスの幅でエネルギー量を調節してアナログ信号を生成するので、同じトランジスタを使っても増幅の結果が異なります。
つまり、トランジスタ素子の増幅特性が全く反映されず、素子のオン・オフで流せる電流量だけが重要になり、安価で同じような特性のアンプを作れるようになります。
しかし、デジタルアンプはクラスD方式ですが、Waversa Systemsでは区別しており、アナログ信号をPDMせず連続的にデジタル処理します。
少し別の話をしてみましょう。
電子工学という学問が事実上、ハイエンドのオーディオ機器を作る際にあまり役に立たない場合が多いです。これは電子工学が追求することを注意深く見ると理解できます。
電子工学を専攻して社会に出て仕事をすると、多くは大規模な生産を行う会社に入社して、できるだけ安価に生産できる新技術を開発することになります。つまり同等の性能で保証期間中は正常に動作し、できるだけ安く作れる技術が必要で、学校でもこれらの企業のニーズに対応できるように教育するようになるのです。
ところがハイエンドオーディオでは、このような法則が当てはまりません。部品の価格に関係なく最大限の性能を発揮する製品を開発することを目標とし、10年または数十年使用可能な製品を開発して生産されます。
このような観点から、従来の電子工学専攻者には理解できないことがあるのが常です。コンシューマーグレードで製造に必要な視点を重視して、工学的により深く踏み込んでいないからです。
たとえば、学問的に16ビット音源の量子化ノイズは考慮の対象ではありません。その程度のエラーは人間では区別されないと断定されているため、コンシューマー製品を作る上では考慮の対象ではなく、16ビット音源が完全な原音と仮定(assumption)することになります。この仮定は後に、固定変数となって、高音質という言葉自体が意味のない言葉として受け止められるようになります。
最終的には、量子化ノイズが含まれている16ビット音源が、量子化ノイズがあるまま再生されてこそ、完全なオーディオとなるのです。ここで、一部では量子化ノイズを減衰するWAPを経れば歪曲された結果であり問題があるという評価もあります。
話しを再びアンプに戻して、なぜデジタルアンプなのか、です。
アナログ増幅回路は、増幅素子の増幅曲線によって音質が決まります。ところが、この増幅曲線がリニアな増幅素子は存在しません。
この図はJFETの増幅特性で、おおよそ一定に見えますが、オーディオでは受け入れがたい特性を持っています。
もちろんID4から8の区間の曲線が比較的一定なので、その区間を増幅区間として使えば、より良くなると思われます。
そのようなアンプがClass Aアンプです。ところがClass Aアンプは、4〜8の区間で動作し続けるのでトランジスタが通電し続ける必要があるため膨大な発熱と同時に素子が長く持たない問題を抱えています。それでも過去にMusical Fidelity A1が登場した時、天板のヒートシンクで目玉焼きが作れるほどでしたが、音が良いので受け入れられた記憶があります。それほどアンプが熱い理由は、リニアな一定区間だけ使えば正常に出力されるからです。
Class Dは事実上Class A、Class ABなどの問題をほぼ解決したアンプです。
Class Aで発生する熱をスイッチングによって解決し、効率は90%を超えます。Class ABは発熱を解消していますが、前述のグラフのように不正確な増幅特性を持っています。
ところが、Class Dアンプには問題があります。
PDM/PWMを使用するため、大きなノイズが発生します。また、PDM/PWMの周波数によって解像度が決定するので、高い周波数のパルスが必要になり、現実的な困難に直面しています。
ノイズを抑えるために高性能なLPFを設計しなければならず、解像度を上げるために極めて高速なPDM/PWM信号を生成する必要があります。
この部分を解決できないままClass Dアンプが市場に登場したため、Class Dアンプのイメージは悪くなり、現在に至っています。全体的なバランスは完璧ですが、ノイズが原因で冷たく、解像度が低く、Class Aアンプに比べて解像度が低いのです。
Waversa Systemsでデジタルアンプと呼ばれるWAMPシリーズは、384kHz PDM/PWMを使用し、WAPによる前処理を行い、通常のClass Dアンプとは明らかに異なる音が聴けるようになっています。
この設計図はWaversa Systemsが独自の設計した次世代デジタルアンプの出力部で、DSD級の信号を受け、今後DSD256レベルの動作速度を持つように設計されたパワーアンプであり、ブリッジ接続によってマルチチャネルまたは大出力アンプの基本的な構成品として定着するでしょう。
そして前述のアンプの終着点になるのではないかと考えています。