HiFi Clubのコラムを翻訳
ファイル再生が主流の現在において、DACが基本的にどのような役割かはご存じだと思われます。しかし、多くのユーザーの方々が、DACという名称のせいか、DACの中にあるDAC Chipに大きな関心を持っています。しかし、DAC開発者らの主張はこれと異なります。彼らは共通して、DACチップと同様に、変換前のデジタル技術が重要だと言います。
それで今日は、0/1で構成される完全のようなデジタル信号では、どのような事が起きているのか、開発者らのデジタル技術の主張を調べてみます。
▲元のImpulse波形とDACで実装された波形
資料を見ると、図と同様の測定資料を一度は見た事がある方もいらっしゃると思います。図の波形は、一瞬のImpulse波形に垂直の波形だが、伝送媒体の特性上、完璧なImpulseを実装することは不可能なため、最終的に以下の図のような形で出力されます。
Impulse波形が完璧に実装されれば最高のデジタル技術だが、事実上これは不可能です。それでDACの開発者は、これらの問題を克服するため、独自のデジタルプロセッサーを開発し始めました。
様々な形のデジタル波形
▲Schiit Audio Yggdrasil D/A processor
▲Bryston BDA-3 D/A processor
この資料は海外StereopileでDACを測定したImpulse Responseで、両社が全く異なる方式で実装していることが確認できます。Schiit Audio Yggdrasilは、全体的なディレイは短いが、Pre-Ring(前ブレ)とPost-Ring(後ブレ)が現れており、Bryston BDA-3はディレイは長いが、Pre-Ringは無く、Post-Ringが多いです。
なぜこのような違いが発生しますか?
- Schiit Audio Yggdrasil : Linear Phase Upsampling Filters
- Bryston BDA-3 : Minimum Phase Upsampling Filters
これには、両社のImpulse Responseの処理に対する考え方に違いがあります。Schiit AudioはRingingをできるだけ早く取り除くのが良いと考え、Linear Phase Upsampling Filtersに制御し、BrystonではPre-Ringingが聴感上の悪影響があるためPre-Ringingを抑制するMinimum Phase Upsampling Filters方式を採用しました。
単純に考えると、Schiit AudioのようにImpulse Responseを極力抑える方が良いように思えるが、実際の聴感上は異なります。多くの音響学者が研究した結果、人間の耳はPre-Ringingに敏感で容易に感知し、自然現象では現れないPre-Ringing現象は、これらの音に適応せず、拒否感を呼び起こすとします。しかし、大きな波長の後に起こってから現れるPost-Ringは感知できず、自然なハウリング程度に認知するそうです。
▲Bryston BDA-3は従来のLinear Phase Filtersで、Minimum Phase Filtersに変えてから音質や音色の評価でよりよい評価を受けています。
デジタルフィルターと関連して、海外で興味深いテストも行われました。
Linear Phase FiltersとMinimum Phase Filtersは、どのフィルターが好まれるか?
Mandolin-アコースティック楽器(質感)
- 55% Minimum Phase Upsampling Filters
- 35% Linear Phase Upsampling Filters
Grandpiano-ピアノ(解像力)
- 55% Linear Phase Upsampling Filters
- 30% Minimum Phase Upsampling Filters
Sam mcclain「give it up to love」-男性ボーカル(音楽性&質感)
- 48% Minimum Phase Upsampling Filters
- 37% Linear Phase Upsampling Filters
参考資料)
https://archimago.blogspot.kr/2015/07/the-linear-vs-minimum-phase-upsampling.html
評価結果から確認できるように、
ピアノのような明るく解像度が必要なサウンドにはLinear Phase Upsampling Filtersがよく合い、
楽器やボーカルなどの質感が中心の演奏ではMinimum Phase Upsampling Filtersがよく合います。
▲ Roonで使用可能なDSP Engine
Sample Rate Conversion Filter
RoonのConversion Filter
これらのデジタルフィルター機能をDAC内蔵のプロセッサではなく、その前段階で処理できるサービスを提供するソフトウェアもあります。最近、大きな脚光を浴びているネットワークソリューションであるRoonが代表的にDSP Engine内にSample Rate Conversion Filter機能を搭載し、ユーザーが直接デジタルフィルターを変更することができます。
Roonで適用するフィルターは、DACによって効果が現れる幅は異なるが、概ね十分に認識できるほど効果的です。音色や好みでフィルターを設定すれば、各自の好みに合ったサウンドで楽しめます。
Roon DSPでサポートするフィルタの種類
- Precise、Linear Phase
- Precise、Minimum Phase
- Smooth、Linear Phase
- Smooth、Minimum Phase
▲Precise、Linear Phaseの適用例
▲Smooth、Linear Phaseの適用例
▲Precise、Minimum Phaseの適用例