W CORE【第4回】W COREの詳細分析

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HiFi Clubの連載コラムを翻訳掲載

  1. 【第1回】W COREの紹介:パソコンのノイズがオーディオシステムの音質に与える相関関係の考察
  2. 【第2回】オシロスコープを使ってパソコンとW COREのノイズの測定
  3. 【第3回】ネットワークプロトコルとROON、そしてW CORE
  4. 「今回」W COREの詳細分析
  5. W COREの音質向上の効果と分析

この連載のメインとも言える今回はW COREの全てが公開されます。W COREの製品構成や特徴を詳細に紹介します。

ただ、ハイエンドオーディオのためのW CORE

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W COREは一言で言えば、よく作られたLinuxコンピューターです。徹底的にハイエンドオーディオのために開発された専用のコンピューターと考えてください。それでは今から、W COREが一般的なパソコンと何が違うのか、どのように「ハイエンドオーディオ」のタイトルを付けられたのかを分析してみましょう。

今までにも低ノイズのオーディオ用パソコンはたくさんあった

そのとおりです。今までにもホームシアター用やオーディオ用のパソコンが無かったわけではありません。FANも無く、アルミニウムのボディで振動対策までしたパソコンは存在しました。それでは、W COREはそれらのパソコンとどのような違いがあるのでしょうか。ポイントをまとめてみましょう。

項目

W CORE

パソコン

音質との関係

電源

トロイダルトランス

SMPS

スイッチング(高周波)ノイズ

FAN

なし

1〜7個

モーター逆起電力、ノイズ

CPU

i3(低消費電力)

i3〜i7

高周波ノイズ

GPU

なし 
(使用不可)

ある

高周波ノイズ

マザーボードのSMPS電源

最小

多数配置

スイッチングノイズ

Class of component

最高級の部品

低コストの部品

評価に基づいて高周波ノイズをフィルタリングする能力が異なる

シャシー

アルミニウム切削シールド加工

鉄板orアルミ組立

振動、シールド、発熱

Network

Ethernet x4

Ethernet 
Wi-Fi
Bluetooth

高周波ノイズ

Network電源

バッテリー

SMPS

高周波ノイズ

I/O

なし

USB 多数 
Optical 
HDMI 
DVI
Display Port
Analogue Out
Keyboard 
Mouse
SD Card

高周波ノイズ

Storage

mSATA x1(OS) 
mSATA x2

SSD 
HDD

逆起電力、高周波ノイズ

OS

Linux

Windows
MAC
Linux

 

OS 
カスタマイズ

オーディオ専用
カスタマイズ

×

リソースとノイズ管理

表のように、W COREはハイエンドオーディオ音質のために、ハードウェア面の設計と、最適化されたOSカスタマイズによって、コンピューターで発生しうるノイズを最低限に抑え、リニア電源部とリチウムイオンバッテリーを使って外部に放出されるノイズを全て無くした設計をしました。

アルミニウム・シャシー

W COREはハイエンドオーディオグレードのスペックを満たすために、アルミニウム切削加工によるトランスシールドと、振動、発熱の対策を完璧に実装しました。

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完全に隔壁化した内部設計

外部を覆うアルミニウムを精巧に切削加工して、5mmから8mm程の厚さで製作され、外部のEMIやRFIのようなノイズの影響を最小限に抑えています。内部は各部品に合わせて加工され、内部にノイズや振動が伝わらないように、別の隔壁処理を行っています。

最高級の部品を採用

トロイダルトランスをはじめ、W COREに使用された部品は、メインボードを除いて全て低ノイズ、シールド効果に優れる部品を厳選して使用しました。


Ethernet(LAN)、4Port

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背面の画像です。シンプルにメイン電源スイッチと、Ethenet Portが4つだけあります。音楽再生以外のあらゆる不必要な端子を取り除き、ノイズの発生を根源から除去しました。

ノイズに対する全てに対策したW CORE

ハイエンドオーディオは小さなノイズにも非常に敏感です。しかしコンピューターは膨大なノイズの塊です。これをハイエンドオーディオに使用できるようにする作業は非常に困難です。W COREはノイズ低減とシールドに全ての技術を投入して完成させた製品です。

堅牢な電源部の構成
  • メインボードの電源のための専用リニアトランス
  • バッテリーの充電のための専用リニアトランス
  • 大容量コンデンサーによる高周波ノイズの流入遮断
大容量のトロイダルトランス

W COREの内部写真を見るだけでも、電源部の設計にどれだけ心血を注いだか一目瞭然です。W COREには大容量のトロイダルトランスが2個入っています。写真のようにトランスは厚いアルミニウムの中に入っています。ノイズと振動を防止するためです。

トランス1つはメインボードの電源として使用され、もう1つはネットワーク電源用リチウムイオンバッテリーを充電するために使用されます。

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ノイズもれまで配慮した電源部

リニア電源部は、外部のEMIやRFIを遮断すると同時に、逆に内部で発生した様々なノイズが放出されるのを遮断する役割も果たします。W COREも、インテルの省電力NUCボードを利用したが、ボード内にSMPS電源部が存在しており、ノイズが発生します。しかし、マザーボードで発生したノイズがトロイダルトランスで吸収されて消滅する事になります。

LANポート(Ethernet)のためだけのバッテリー電源部

  • リチウムイオンバッテリーを利用した超低インピーダンス実装
  • ネットワーク段で放出されるノイズ除去で純粋な信号伝送
クリーンな電源による純粋な信号伝送の実現

リチウムイオンバッテリーのノイズ除去効果はWSmartHubで既に検証に検証を終えています。ネットワーク段だけのために設計されたバッテリー電源部は、ネットワークケーブルで放出される全てのノイズを強力に吸収し、ノイズの無いクリーンな信号だけを送り出します。

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リチウムイオンバッテリーを利用した超低インピーダンス実装

リチウムイオンバッテリーは特性上、一般的な電気システムでは想像できないレベルの超低インピーダンス特性を持ちます。インピーダンスが低いという事は、オームの法則でI=V/R、つまりRが小さくなり、電流量が高いという意味で、電流が高いという事は、相対的に外部の流入ノイズが電源に流入しにくいという意味です。そのような理由から、リチウムイオンバッテリーの超低インピーダンスは信号線に乗って流れる微少なノイズ信号も、まるでブラックホールのように吸収してしまう効果まであります。

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リチウムイオンバッテリーは寿命があるので、交換が簡単にできるように、底面に専用カバーを用意しました。

超低ノイズ設計のネットワークのハブを搭載

  • オーディオグレードの高精度クロックの採用でジッター発生を極小化
  • LANのアイソレーションを適用したオーディオ専用のLANポート
NO! SMPS!

一般的なスイッチングハブは、外部電源もSMPSを使用して、内部基板の個別電源もSMPSを使用します。これに対してW COREに使用されたネットワークハブは、最初の外部電源はリニア電源部から受け、その次のバッテリーで充電された電源が供給されます。そして最終的に使用される個別の電源もリニア方式で生成され、全世界のどのネットワーク機器よりもクリーンな電源で、純粋なデジタル信号を転送します。

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オーディオグレードの高精度クロック採用でジッター発生の極小化

一般的なハブは、高精度クロックを使う必要がありません。そのため最も低コストな水晶発振素子方式のクロックを使う事がほとんどです。しかし、W COREにはMEMS級のオーディオグレードのクロックを使用し、Roonを経たPCM信号が再配置されてDACに渡されます。おかげでDACで信号の再整列する負担を減らし、ジッターの発生率を極小化させてくれます。

アイソレーションとノイズフィルターを適用したLANポート

実際に、上述の信号転送が完璧に可能です。しかし、NASやルーターなど外部から来る信号の対策のために、アイソレーションとノイズフィルターを装着したLANポートを搭載しました。オーディオと互換性のあるほとんどの機器は、ほぼ全てSMPSを使った電源なのでノイズ発生率が高くなります。これらのノイズがW COREの流入する影響を最小限に抑えるため、非常に小さなトランスを搭載したLANポートを使用し、高周波ノイズを除去するため8つの信号にペアでフィルターを追加搭載しました。

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カスタムマイズPC

W Coreは、Intel i3 CPU Linuxベースのコンピュータです。しかし、モニター、キーボードなどを接続することはできません。USBポートもWi-FiやBluetoothもサポートしません。これは、コンピュータで発生するノイズを最大限減らすためです。

GPU、USB、各種I/OなどもOSのカーネル段から全て除去して、ただRoonだけのために動作するようにカスタマイズしました。こうしてやむを得ず発生するマザーボード上の高周波発振を最小化に抑えました。

前面のLCDパネルは、情報提供のための唯一の手段であるため、配置するLCD専用のCPUを別に用意し、電源も分離供給し、ノイズ発生源を徹底的に防止しています。

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カスタマイズOS

使用しないデバイスを全てOFFさせてしまうのは、Linux OSだから可能な話しです。OSカーネル部を自由に制御できないWindowsの場合、このように最適化してカスタマイズする事は難しく、予測不可能な様々なサービスプログラムが動作して、それらのノイズを防ぐのも難しいが、オープンソースであるLinuxは、これらの全ての部分を考慮して最適な制御が可能であるためです。

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GPUや使用しないI/Oデバイスは、ハードウェア的に動作しないように、Linuxカーネル段から全てを削除し、ノイズの発生が最小限になるよう細心のOSカスタマイズまで行っています。それこそ、ハードウェア、ソフトウェア的に完全なオーディオ専用として動作するようにしました。

証拠

このように徹底的にPCノイズの全てを考慮し、遮断したソリューションを実装したW COREは、通常のPCに比べて、電源段、LAN段によるノイズの放出がほぼ測定値以下に低下します。

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▲ 電源を入れる前のノイズ

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▲ 一般的なPCで発生するノイズ

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▲ W COREで発生するノイズ

もう一つの秘密、48V

大容量の電源部と電気供給能力が良ければ、良いオーディオというのは定説です。オーディオはやはり電気です。電気の役割と能力が全てのオーディオ機器の重要な要素です。

最新の自動車のバッテリー電圧が12Vから48Vに上がっています。自動車に多数の電子機器や自律走行など、カメラなども搭載され、自動車に使われる電気の量が、今までとは比較にならないほど増えたため、12Vの電圧ではその多くの電子機器を安定的に動作させられないというのも理由の一つです。

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車のバッテリー電圧が48Vに上昇し、もう一つの利点が生まれました。豊かになった電力でターボエンジン吸気にモーターを付けてエンジンの出力と燃費を向上させています。

通常、コンピュータや電子製品に使われる内部電圧は直流12V、5V、3.3Vが多く使われます。 SMPSは電気の供給量が多くなると、スイッチングタイムを調節して電圧を維持します。 そのため不規則な動作やノイズの周波数が変わることになります。

W COREの内部は48Vシステムで、W CORE内のCPUやSSDなどが要求する電気を十分に即座に供給し、内部SMPS電源部の電圧変動による異常動作を最小化し、安定性と効率を高めており、異常発振による高周波ノイズの発生も最小限に抑える事ができました。

拡張性

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W CORE内部には計3つのmSATAスロットがあります。一つはOSおよびRoon Core用に使用され、2つは追加で使ってNASのドライブとして使用可能です。

W COREの接続方法

多くの方々からお問い合わせいただいている、W COREの設置方法です。

既存のネットワークプレーヤーやパソコンで動くRoon
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パソコンで発生したノイズがDACにそのまま流入し、ケーブルで接続されている全てのオーディオシステムは膨大な高周波ノイズにそのまま露出されることになります。

W CORE追加

対象:一般的なCDのみをお聴きの方。パソコンをネットワークに使っている方。Roon利用者。

W COREはオーディオの観点からはトランスポートと言えます。したがってDACが必要です。また、Roonの認証を受けたRoon Readyの必要があります。この構成で、RAATプロトコルをサポートしてRoonのデータを受けることができます。

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図のように、W COREにネットワークDACを接続します。W COREではノイズを放出しないため、DAC段からのアナログ機器(プリ、パワー、スピーカー)は、高周波ノイズの影響をほとんど受けなくなります。

別のNASがある場合

対象:既にネットワークプレーヤーをお使いの方。Roon利用者。
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別のNASがある場合、NASをルーターに直結せず、W COREのネットワーク端子に接続します。W COREネットワーク部はリチウムイオンバッテリーで動作するため、内部ノイズのブロックはもちろん、WSmartHubの機能も一部持っているため、音質が更に向上させられます。

ハイエンドオーディオシステム

対象:既にネットワークプレーヤーをお使いの方。Roon利用者。WSmartHubのオーナー。
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W COREのネットワーク、リチウムイオンバッテリーは内部ノイズを外部へ放出させないために作られました。したがって、WaversaSystems WSmartHubと性能が同一ではありません。WSmartHubはネットワーク上にあるノイズを除去してくれる機能を持っています。

上記の構成のように、WSmartHubにルーター(インターネットやiPadなどのため)とWNAS3、W COREを接続すれば、最高のハイエンドサウンドを完成できます。WSmartHubはネットワーク上のノイズを遮断するため、ルーターとネットワーク上にある残留ノイズまで全て遮断してくれ、音質に影響を与えるジッターと高周波ノイズが無くなるためです。

W COREだけでもノイズがほとんど測定されませんが、ハイエンドオーディオのレベルは現存する測定器で測定されません。ハイエンド用シールドトランス、電源コードなどが測定器でノイズが低減されていることが検知されません。しかし、測定されない極めて微少なノイズが、良いシールドトランス、電源機器、電源コードなどによって除去され、音質が格段に良くなる事はあります。したがって、WSmartHubまで追加すると、更に上質な音を経験することができます。