W CORE【第3回】ネットワークプロトコルとRoon、そしてW CORE

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HiFi Clubの連載コラムを翻訳掲載

ネットワークプロトコルとRoon、そしてW CORE

  1. 【第1回】W COREの紹介:パソコンのノイズがオーディオシステムの音質に与える相関関係の考察
  2. 【第2回】オシロスコープを使ってパソコンとW COREのノイズの測定
  3. 【今回】ネットワークプロトコルとROON、そしてW CORE
  4. W COREの詳細分析
  5. W COREの音質向上の効果と分析

W CORE、第三回目、「ネットワークプロトコルとROON、そしてW CORE」です。

今回の内容を理解するために、”ネットワーク再生の新たなマイルストーン「Roon」”もぜひご参考ください。

ますます加速するネットワーク

ネットワークの速度は飛躍的に速くなっています。LANもGiga LANを越え、更に高速な規格が登場しており、4G、5Gなど次世代の通信標準も続々と登場しています。

速くなるネットワークの速度は、オーディオシステムに有利でしょうか?違います。ネットワークの速度が上がるという事はネットワーク機器のCPUやクロックの処理速度が上がるという事でもあり、これは更に高く、より多くの高周波ノイズが発生するという事です。

ネットワークプロトコル

初期のパソコンは一度に1つの事しかできませんでした。いくつかの処理をする場合、1つの作業が終わって、次の処理が可能でした。例えば、以前のパソコンで一般的に使っていたMS-DOSを考えてみてください。初期のMS-DOSは一度に一つのことしか処理できませんでした。しかし、Windowsが登場し、いわゆるマルチタスクが可能になりました。

コンピューター機器間の伝送規格をプロトコルと言います。ネットワークプロトコルも、同時に複数の信号を並列で処理します。ネットワーク内には数多くのコンピューターや様々な機器が接続されて、様々なプロトコルで非常に忙しく送受信を行っています。ネットワーク内の信号処理は、パケット単位のランダム方式で動作しています。

そのため、連続する音声の音楽信号を処理するために、USB-DACやネットワークプレーヤーでは多くの問題があります。ネットワークプレーヤーの基本的なプロトコルとして使われているDLNA、uPnPもコンピューターと一般家電製品との接続のためのプロトコルとして作られたもので、音楽信号処理には不適切なプロトコルだからです。

図はネットワークプレーヤーでほぼ標準的に使用されているDLNA方式とRoonを比較した図です。

W CORE【第3回】ネットワークプロトコルとRoon、そしてW CORE 1

DLNA(一般のネット再生)とRoonのRAAT音源の処理方法

図のようにDLNAはネットワーク上の音源データをパケット(包み)にして他のデータ処理と同様に並列処理され、ランダムに転送されます。 音源ファイルフォーマットによって圧縮されたデータの場合、DACが受けて圧縮を解凍し、PCMに変換してD/Aコンバーターに送信します。この過程で、ネットワークの負荷によってデータ転送が円滑でない場合もあり、DACの負荷が高くなる事が多くなります。

それに比べてRoonROONでは、一般的なDLNAではなくRAATという独自のプロトコルを利用して、ネットワークでDACと接続されます。RAATはDLNAとは違い、非常に細かく音源信号を一定に正確に計算してDACに転送します。その結果、ジッターの発生確率を大幅に減らすことができます。

それでは、Roonは全てを解決したのですか?

そうではありません。Roonはソフトウェアです。パソコンやNASなどのハードウェアで動作するソフトウェアで、コンピューターやネットワーク機器で発生するノイズには全く関与できません。単にランダムなプロトコルを改善したRAATを利用して、一定の信号を転送するソフトウェアだからです。

RoonのためのW CORE

WCOREの技術資料を公開して、「いったいW COREは何?」、「新しいDACの一種?」、「どうやって接続して使うのか」と言った質問が多く寄せられました。

W COREは、DACにRAATの信号を送るための専用装置(コンピューター)と考えられます。つまり、ネットワークプレーヤーをお使いの方は、W COREをパソコンの代わりにお使いになれます。それでは、一般的なパソコンをRoon Coreで使うのと、W COREを使う場合のノイズの違いを説明します。

従来のネットワークプレーヤーやパソコンで動作するRoon
W CORE【第3回】ネットワークプロトコルとRoon、そしてW CORE 2

一般的なコンピューターで発生したノイズがDACにそのまま流入し、ケーブルで接続されている全てのオーディオシステムは高周波ノイズにそのままさらされます。

W CORE
W CORE【第3回】ネットワークプロトコルとRoon、そしてW CORE 3

自己の発生ノイズも遮断し、信号のみを出力するW COREを使うと、高周波ノイズが全て消え、オーディオシステムが高周波ノイズの影響を受けずクリーンになります。パソコンやネットワーク機器(ハブ、ルーター)のノイズのために、これまで高価な電源装置やWSmartHubが存在しましたが、W COREはノイズ発生点(源)でノイズを発生しない製品で、価値あるものです。

W COREはRoon Coreの他に、4ポートのネットワークハブと2つのmSATA SSDを、内部に搭載できます。従って、ハブとNASとしても使用可能なので、W COREだけで手軽にネットワーク再生を楽しめるようになります。つまり、W COREは今までのパソコンやNASと置き換える事ができ、別のネットワークプレイをせずに、USB-DACのみを使う場合でもW COREだけ追加すれば簡単にネットワーク再生とRoonを使えます。※ただし、Roon ReadyをサポートするDACが必要です。

W COREの詳しい紹介と説明は、次の回に続きます。